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【医師監修】もっと詳しく、やさしく◆幹細胞の話①

2度にわたりヒト幹細胞溶液やもっと複雑なヒト由来成分の話をしましたが、ちょっと難しい……というご指摘をいただきました。

少し前に、ヒト幹細胞培養液原料工場の研究者さんのセミナーを受けたのですが、知識のある私ですら専門用語が難しく、周りの聴講者さんは皆さん寝ていました(笑)

ただでさえ成分名も長いし、まだ新しい技術でもあるので、もっとやさしく、それでいて詳しくご紹介しなおそうと思います。是非最後までご覧ください。

そもそもヒト幹細胞とは?のやり直し

前回と同じ言葉が出てきますが、もっとわかりやすくお伝えしますね。

幹細胞とは?

組織を保つために、絶えず新しい細胞を⽣み出して補充する能⼒を持つ細胞や、私たちがケガや病気をしたときに⾜りない細胞を修復し、損なわれた機能を補充してくれる能⼒を持った細胞です。

もっとやさしく言うと、

人の細胞を育てて、その細胞から作られたエキスのことです。

幹細胞の能力

幹細胞には主に以下2つの能力があります。


引用:ThermoFisher 幹細胞とは

①⾃⼰複製能

⾃らと同じ能⼒を持つ細胞に分裂することができる能⼒です。

②多分化能

⽪膚、⾎液、神経、⾎管、⾻、筋⾁など細胞を作り出す能⼒です。

ヒト幹細胞の種類

前回は違うアプローチで種類分けをしました。

数ある幹細胞の中から、間葉系幹細胞が細胞培養上清液に使⽤されています

引用:再生医療の基礎知識
https://saiseiiryo.jp/basic/detail/basic_01.html

ここまでが幹細胞のお話しです。

ヒト幹細胞培養液とは?

ヒトの脂肪組織から採取した幹細胞を培養して得られる上澄み液のことです。この液体には、細胞の成長や修復を促進する様々な成長因子が含まれています。細胞自体は入っていません。

引用:https://nextgem.jp/wp-human-stem-cells/

成長因子(サイトカイン)の種類は?

たくさんの種類がありますが、ヒト幹細胞培養液に含まれる主な成長因子には以下のようなものがあります。

EGF(Epidermal Growth Factor): 細胞の増殖や角質形成を促進し、肌のターンオーバーを活性化

FGF(Fibroblast Growth Factor): コラーゲンやエラスチンの生成を促進し、ハリや弾力を与える

IGF-1(Insulin-like Growth Factor 1): 細胞のダメージ修復を促進し、シワやくすみを改善

TGF-β(Transforming Growth Factor β): 炎症を抑え、肌荒れを防止する

VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor): 血管の生成を促進し、血行を改善

成長因子に期待できること

ヒト幹細胞培養液には、以下のような効能効果が期待できます。

  • ●エイジングケア: シワやくすみ、ハリ・弾力低下などの改善
  • ●ニキビ跡改善: ニキビ跡の赤みや凹凸を改善
  • ●肌荒れ防止: 炎症を抑え、肌荒れを防止
  • ●美白: メラニンの生成を抑制し、肌を明るくする
  • ●ターンオーバー促進: 肌の生まれ変わりを促進し、キメを整える

え?これすべての効果があるのなら、もう悩みに応じた美容液を使い分ける必要はなくなるのでは?と期待しますよね。

これらの効果は、配合されている成長因子や製品の質によって、個人差があります。また、すべての商品に同じ効果があるわけではありません。

まとめ

前回に比べてわかりやすくなっていますか?

これを全部覚える必要はありません。

要するに、ヒト幹細胞培養液は人の様々な細胞の中の、間葉系細胞を培養させたものの上澄みのことを指し、この中にはたくさんの成長因子が含まれ、医療や美容分野で期待の星になっているというわけです。

間葉系細胞(かんようけいさいぼう)は、結合組織、骨、軟骨、脂肪、筋肉などの様々な組織を構成する細胞の総称です。胚葉由来の細胞ではなく、中胚葉由来の細胞です。

間葉系細胞は、幹細胞としての性質を持ち、様々な種類の細胞に分化することができます。具体的には、骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、神経細胞、筋肉細胞、血管細胞など、200種類以上の細胞に分化することが分かっています。

間葉系細胞は、体内に自然に存在する幹細胞であり、骨髄、脂肪組織、歯髄、臍帯血、胎盤などから採取することができます。

血液系の細胞や、神経系の細胞は使われていません

成長因子(サイトカイン)にもたくさん種類がありますが、一つ一つを覚えるのではなく、こんなにたくさん夢のある因子が含まれているんだなぁと思うくらいで大丈夫です。

前回も書きましたが、信頼と実績のあるメーカーの原料を使っているか?確かなエビデンスを取っているかなど、よく調べてから化粧品を購入した方がよいでしょう。

本記事の監修は

医学顧問 早川 宏司 先生

996年:日本形成外科学会認定専門医
1997年:大牟田市立病院形成外科部長
1999年:大阪白壁美容外科形成外科部長
2001年:矢永クリニック勤務
2003年:形成外科 白山クリニック開院 院長

日本形成外科、美容外科認定専門医
日本乳房オンコプラスティック学会認定医

 

 

 

 

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