【医師監修】もっと詳しく、やさしく◆幹細胞のはなし②
なんとなく、ヒト幹細胞が医療の分野や美容分野で良さげなことはわかった。
でも……
- ●安全性は大丈夫?
- ●ヒトの細胞を使うなんて高そう
- ●どのような人の細胞を使っているの?
まだまだ疑問は尽きないと思います。
今日はこのあたりを解説したいと思います。
ヒト幹細胞の安全性
ヒト幹細胞の安全性については、近年多くの研究が行われていますが、まだ十分な結論が出ているとは言えません。研究もここ数年でうなぎのぼりで増え続け、最近の医学論文は数年前の何十倍にも及びます。
ヒト幹細胞には、様々な種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。そのため、安全性についても、種類によって異なることが分かっています。
安全性に関する主な研究結果
安全性に関する主な研究結果は以下の通りです。
間葉系幹細胞: 間葉系幹細胞は、脂肪組織や骨髄などから採取できる幹細胞であり、安全性が高いと考えられています。間葉系幹細胞移植による腫瘍形成リスクは、非常に低いことが分かっています。
多くの幹細胞の中でも、化粧品に使われるのは間葉系幹細胞の上澄み液のみです。
更に、
- ●ドナーとなる方のウィルス検査
- ●細胞のウィルス検査
- ●細胞培養上清液の細菌等
の検査を各メーカーが厳重に行い安全性を保っています。
上澄み液って?
別名上清液とも呼ばれます。
ヒト幹細胞培養液とは、ヒトの細胞を培養して得られる細胞培養上清液のことです。この液体に細胞の成長や修復を促進する様々な成長因子が含まれています。
以前は幹細胞を培養した後、上清液を廃棄していたのですがこの上清液が、医療や美容に期待できる成分であることが研究でわかりました。
ヒトの細胞を使うなんて高そう
数年前までヒト幹細胞培養液配合のスキンケア製品はセレブコスメと呼ばれていました。
1つの細胞を一度だけ使用すると、とてつもなく高額になります。
なので、幹細胞の培養を行います。
培養を何度も繰り返し、増やしていく事で近年では出始め期より大変安く買えるようになりました。
Dr.Viseaの社長渡邊は、医師の診断の元、自身の脂肪を切り取り、培養の実験をしています。
培養方法①
培養方法②
培養方法③
どのような人の細胞を使っているの?
医療や美容に使用する細胞が、病人や老人のものだと敬遠してしまいますよね。
しかし、最近では老人でも病人でもすべての人から細胞を培養できる技術が確立されています。
むしろ、老人のものの方がアンチエイジング効果が望めることもあります。
しかし、老人の細胞は若い人のものと比べて培養にかかる時間が長いため、化粧品で使われている細胞のほとんどは、若い健康な女性のものです。
最後に
今回はヒト幹細胞の安全性やコスト、上清液の作り方をご紹介しました。
前回とかぶる部分もあるので、復習にもなったのではないでしょうか。
ヒトの細胞には様々なものがありますが、まだ安全性が確立されていない細胞が多いのも事実です。
しかし、前回お話しした間葉系細胞は、研究も進み、安全であることがわかっています。
幹細胞の細胞は使わず、上澄み液(上清液)だけを使うということ、また上清液の作り方もざっくりとお分かりいただけたでしょうか?
科学者ではないので、全部覚えなくても大丈夫です。
実はこれ、かなりコンフィデンシャルなことを公開してしまっています。
(社長に怒られてしまうかも……)
次回以降も幹細胞のお勉強シリーズが続きます。
お楽しみに!
本記事の監修は
医学顧問 早川 宏司 先生
996年:日本形成外科学会認定専門医
1997年:大牟田市立病院形成外科部長
1999年:大阪白壁美容外科形成外科部長
2001年:矢永クリニック勤務
2003年:形成外科 白山クリニック開院 院長
日本形成外科、美容外科認定専門医
日本乳房オンコプラスティック学会認定医