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【医師監修】詳しく知ってる?ヒト幹細胞の力

数年前にヒト幹細胞培養液配合の化粧品がブームになったことがありましたが、当時はとても高価で、どのような効果があるのかも知っているようであまりわからず、一大ブームは去りました。

そもそもヒト幹細胞って何?お年寄りや病人の幹細胞も使ってるの?と懐疑的だったのでしょう。

日本国内ではヒト幹細胞培養液を作っている工場が少なく、海外製が多いのもひとつの要因だと言えます。

今日はそんなヒト幹細胞培養液の魅力をご説明します。

そもそもヒト幹細胞とは?

ヒト幹細胞とは、自分自身と同じ能力を持った細胞に分裂することができる能力(自己複製能)と、様々な細胞に分化することができる能力(多分化能)を持ったヒトの細胞です。

ヒト幹細胞の種類

ヒト幹細胞には大きく分けて2種類あります。

  • ●胚性幹細胞: 受精卵が分裂して4~5日目頃に形成される細胞です。最も多能性が高く、あらゆる種類の細胞に分化することができると考えられています。
  • ●体性幹細胞: 胎生期以降の体内に存在する幹細胞です。胚性幹細胞に比べて多能性は低くなりますが、血液、骨、神経など、特定の種類の細胞に分化することができると考えられています。

ヒト幹細胞培養液の作り方

  1. 1.ヒト幹細胞の調達: 胚性幹細胞や体性幹細胞などのヒト幹細胞を調達します。
  2. 2.培養: 培養皿やフラスコなどに入れ、培養液で培養します。培養液には、胚性牛血清やフィトブラスト成長因子 (FGF) などの成長因子を含みます。
  3. 3.培養上清の採取: 培養が終了したら、培養上清を採取します。培養上清には、ヒト幹細胞が分泌した様々な成長因子やサイトカインなどの有効成分が含まれています。
  4. 4.ろ過・濃縮: 採取した培養上清をろ過・濃縮し、ヒト幹細胞培養液を作ります。

もっとすごい!ヒト幹細胞順化培養液

ヒト幹細胞を培養環境に慣れさせる「順化」という工程を経てから培養した際に分泌される有効成分を抽出したものです。幹細胞自体は含まれていません

最新の技術であり、研究が進められています。

ヒト幹細胞培養液を【順化】することでより優れた効果を発揮します。

  1. 1.有効成分の増加

ヒト幹細胞を培養環境に慣れさせる「順化」という工程を経ることで、細胞のストレスが軽減され、より多くの有効成分が分泌されると考えられています。具体的には、以下のような有効成分の増加が期待できます。

  • ●成長因子: 細胞の増殖や分化を促進する因子です。
  • ●サイトカイン: 細胞間の情報伝達に関わる因子です。
  • ●エクソソーム: 細胞間を介して情報を伝達する微小な膜小胞です。
  • ●ヒアルロン酸: 肌の保湿や弾力に重要な役割を果たす成分です。
  • ●コラーゲン: 肌のハリや弾力に重要な役割を果たす成分です。
  1. 2.細胞の活性化

順化によって、ヒト幹細胞の活性化が促進されると考えられています。活性化されたヒト幹細胞は、より多くの有効成分を分泌し、肌の再生やアンチエイジング効果を高めることが期待できます。

  1. 3.安全性の向上

順化によって、ヒト幹細胞培養液の安全性が高まると考えられています。順化前のヒト幹細胞培養液には、未分化のヒト幹細胞が含まれている可能性があり、これがアレルギー反応や腫瘍形成などのリスクを高める可能性があります。一方、順化されたヒト幹細胞培養液には、未分化のヒト幹細胞が含まれていないため、これらのリスクが低くなります。

  1. 3.安定性の向上

順化によって、ヒト幹細胞培養液の安定性が向上すると考えられています。順化前のヒト幹細胞培養液は、培養環境や条件によって品質が大きく左右される可能性があります。一方、順化されたヒト幹細胞培養液は、培養環境や条件の影響を受けにくく、安定した品質を保つことができると考えられています。

ヒト幹細胞順化培養液の作り方

ヒト幹細胞順化培養液の作り方は、ヒト幹細胞培養液の作り方と基本的には同じですが、以下の点に違いがあります。

  1. 1.培養環境: ヒト幹細胞を培養する環境を、徐々に体内の環境に近づけるように変化させます。この工程を「順化」と呼びます。順化によって、ヒト幹細胞がより安定的に培養され、より効果的な有効成分が分泌されると考えられています。
  2. 2.培養期間: ヒト幹細胞順化培養液を作るには、ヒト幹細胞培養液よりも長い培養期間が必要です。

一番知りたい!?どんな効果があるの?

  • ●ヒト幹細胞培養液: ターンオーバーの促進、コラーゲン・エラスチンの生成促進、シワ・たるみ改善、ニキビ・ニキビ跡改善、肌荒れ防止、保湿効果などが期待できます。
  • ●ヒト幹細胞順化培養液: ヒト幹細胞培養液と同様に、ターンオーバー促進、コラーゲン・エラスチンの生成促進、シワ・たるみ改善、ニキビ・ニキビ跡改善、肌荒れ防止、保湿効果などが期待できます。さらに、順化によって細胞のストレスが軽減されるため、より効果的な有効成分が分泌されると考えられています。

まだまだ発展途上

ヒト幹細胞は医療の分野でも美容の分野でもまだまだ研究が熟成しているとは言えません。だからと言って人間にとって有害があるわけではなく、まだまだ貢献できる分野が広がるのではないかという期待が増すばかりです。

本記事をご自身の化粧品選びの参考にしていただけたら幸いです。

本記事の監修は

医学顧問 早川 宏司 先生

996年:日本形成外科学会認定専門医
1997年:大牟田市立病院形成外科部長
1999年:大阪白壁美容外科形成外科部長
2001年:矢永クリニック勤務
2003年:形成外科 白山クリニック開院 院長

日本形成外科、美容外科認定専門医
日本乳房オンコプラスティック学会認定医

 

 

 

 

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